//海外と日本の不動産に関する習慣の違いって何がありますか?

海外と日本の不動産に関する習慣の違いって何がありますか?

今回は、海外と日本の不動産、賃貸に対する習慣、風習の違いについてです。

株式会社リアルエステートジャパンの外国人アドバイザリー事業部・事業部長 清水健に話を聞きました。

 

「海外では原状回復という概念はそもそもありません。」

ーーー今までに外国人入居者のびっくりするような事件ってどのようなものがありますか?

一般的には、日本人には無い事例として臭いの問題があります。伊豆諸島出身の方が東京に引っ越してきた時にマンションでくさやを焼いたら近所から大クレームだったという日本人の知り合いもいますが。(笑)これと同じようなケースで、国によっては香辛料の臭いが強かったり、聞いた話では、韓国の方が風呂で、大量のキムチを漬けていた、という話もあります。

ーーーそれって防げるんですか?

防げますよ。さっきの韓国の方は、その後、退去時に風呂の清掃で相当なコストが掛かったそうです。何故こんな事が起こったのかというと、原状回復という概念が海外では存在せず、まさか退去時にそんなコストを支払わなければならないとは考えもしなかったからです。最初からちゃんと説明して、理解して貰っていればこんな話にはならないんですが。

ーーー原状回復という概念が無いとなると、敷金という概念も無いんですか?

はい。例えばアメリカだと、敷金では無く、保証金(Deposits)は入居時に預けますが、これは100%返ってくるものです。原状回復という概念とセットで、敷金の概念の説明も入居時にきっちり説明が必要です。特に、日本人だと退去時には、クリーニング代が差し引かれて敷金が返ってくる事を知っていますが、外国人の方は知らないです。ですので、全額返って来ないことで退去時にトラブルになったり、逆にキレイに使っていれば返ってくると思っていないので、粗雑に部屋を使ってしまったりというケースもあります。

また、日本の敷金の概念は、日本人でも分からないような複雑なケースもあるので、混乱を招きがちです。例えば敷引や敷金の償却等ですね。

世界共通で一緒だと思いますが、一番のトラブルの原因はお金なので、入居してから退去する日までどうゆうお金の流れになるのか、きっちり入居前、契約前に説明しておくと、余計なトラブルは発生しません。ゼロから説明しないといけないので、手間ではありますが、前回もお伝えしたように、トラブルは事前に準備しておけば殆ど発生しなくなるので、総合的に見ると時間の節約になります。

ーーー他にも気をつける点はありますか?

現状回復という点では、入居時のチェックリストがありますよね。これはそもそも日本語が読めない方だとチェック自体が出来なかったり、どの程度を傷を認識するのか、感覚的に難しい事もあります。外国人の方には、チェックを付けてもらうより、写真を撮って貰った方が楽だったりします。

 

「入居された後、生活が安定軌道に乗れば、何の心配も入りません。でもそれまでは気にかけています。」

ーーー不動産の契約以外にもやり取りをしていく中で、文化的なギャップを感じることが沢山ありそうですが、どうですか?

文化的なギャップ、要は国籍によって違う事が沢山ありそう、という話ですが、ことコミュニケーションに関してはそこまで意識する必要はありません。

意識する必要が無いというよりも、文化差より個人差、つまりその人自身の性格や考え方によるギャップの方がはるかに大きいです。

なので、どちらかと言えば、どの国の人だから、では無くその人がどうゆう人かが大事です。その意味では日本人と同じかもしれませんね。

ーーーなるほど。そう言われると、結局はいろんな国籍の人と沢山接した事がある、という経験が最重要で、初心者に太刀打ちが出来ない気がしてきてしまいます。場面場面で少しでも傾向と対策があれば教えて欲しいんですが。。

我々がしている業務は、本当に最初の物件に対する問い合わせがあってから、退去が完了する所までずっと付き合っていきます。例えば一番最初の問い合わせだと、こんな問い合わせが来たら絶対徹底フォローすべき、というのがあります。弊社のサイトでは最低、メールアドレスとお名前があれば内見の問い合わせを送る事が出来ます。ただ、時々、任意のメッセージ欄に自己紹介を書いてくる人がいます。こうゆう方は、そもそも成約に至る率も高いですし、入居後も安心して見ていられる超優良顧客の傾向が高いです。

ーーーえ、自己紹介ってなんですか?

例えば、「私は清水健です。今回、転職がきっかけでアメリカから日本に引っ越しをしなくてはいけなくて、業務開始が2ヶ月後なのであまり時間が無いのですが、出来れば職場である麻布十番から30分程度の通勤時間で通える所を探しています。」といったように、

引っ越しの理由や物件選びの基準を含めた部屋探しの事情を丁寧に送って来る方がいます。

こうゆう方は、こちらからも提案がしやすいのもありますが、結果的に決まりやすいですね。

ーーーなるほど。そうゆう方が問い合わせの段階では良いと。そこから内覧に持っていく際には何かテクニックがありますか。

細かい話になりますが、こちらもかなり丁寧に対応するようには心がけています。
例えば、弊社では海外にいる方はもちろん、国内にいる方も直接お会いしないまま、内覧まで持って行きます。海外から直接物件を契約出来るハウジングサービスを提供している為、直接会う前提でビジネスを組み立てていては成立しないモデルだからです。
店頭で直接お会いしていない方を内覧までご案内するのには、「本当に行って大丈夫なの?」「どれくらい丁寧に対応して貰えるの?」と言った不安を解消しなくてはなりません。

具体的には、内覧が決まった時点で、当日の流れを説明するメールを送っています。この中には、場所や連絡先、時間もありますが、当日の予定時間の2時間前にはこちらから確認の電話を入れる旨も入っています。ここで電話が取れない、もしくは折り返しが無い場合、内覧が出来ないというルールです。

一見過剰な条件に見えますが、これくらいやらないと、こちらの真剣さが伝わらないんです。加えて、前日にもリマインドメールを送っています。ちなみに、この取り組みを始めてから内覧のドタキャンはほぼなくなりましたし、成約率自体も向上しました。

ーーーかなりハードルが高い、というか日本人の私でもそこまでやれないと思うのですが。

若干、日本で日本人が家で探すのとはシチュエーションが違っています。もし、これが海外で、例えばインドネシアで部屋を探している場合、日本語が通じて、しかも頻繁に確実なこの先のスケジュールを知らせる連絡があれば安心ですよね。我々はそういった海外で部屋を探す方の視点でサービスを組み立てているんです。

ーーー次に進みたいんですが、実際に契約する段になってトラブルというのは無いのですか?

先程もお話した敷金礼金の話なんかも含めて事前に丁寧に説明し、契約書自体も契約日の数日前にメールでお送りしているので、いざ契約する時は全然問題無いですね。

ーーー契約の時って家賃交渉が入ったり、色々揉めそうなんですが、そういった事は無いのですか。

逆に、もし家賃が高い、敷金を半分にして欲しい等の要望があれば極力代理人として我々が交渉を請け負うようにしています。交渉というよりは、率直に貸主側に相談してみる、というスタンスですが。
こういった交渉自体は、出来る出来ない、双方が納得するしないの話ですので、実はそんなに揉める所ではありません。言語の問題でニュアンスが伝わない所があるとは思いますが、そこは間に入る人間が上手く伝える所ですね。

ーーーそれで無事契約した後、入居後のトラブルというか、困りごとなんかが想定されるのですが、どうなんでしょうか。

前回のインタビューでもお伝えしたように、入居後のびっくりするようなトラブルって、事前に対策を打っておけばそこまで大きな問題は発生しないんですよね。過去に近隣の方とのトラブルになったこともありましたが、どちらかと言えば、トラブルを起こした相手の日本人の方が周囲の住人や管理会社からも迷惑がられていたり、というケースでした。誰もが迷惑して、何なら自治体や警察に度々通報されている位のトラブルメーカーがいらっしゃる所に外国人の方を入れると流石にトラブルの火種になりそうで、怖いですが。

入居後のトラブルは無い、と言いましたが、外国人の方から入居後によく相談があるのは、
インターネットを引きたい、エアコンの取り付けをどうしたらいいか分からない、中古の家具屋は近くに無いのか、と言った事です。
当然お部屋探しや引っ越しだけで無く、生活が通常運転で回り始める所までは色々困る事が出てくるので、このあたりまでは我々も注意を払っています。

プロフィール

清水 健 (Shimizu Ken)

株式会社リアルエステートジャパン
外国人アドバイザリー事業部・事業部長

幼少期を米国・カリフォルニアで過ごしたのち日本へ移住。国内の大手保険会社に5年ほど勤務して顧客対応におけるB2Cの基礎とCS(Customer Satisfaction)の重要性を学ぶ。その後、自身の英語力を活かしたいとの想いで株式会社リアルエステートジャパンへ入社。顧客対応の経験と自身のバイリンガル性を活かし、外国人のお部屋探しのみならず外国人不動産市場へ参入する不動産会社をトータルサポート。ハウジングサービスの立ち上げに携わり、今現在はサービスの責任者として活躍をしている。

2017-09-19T15:01:22+00:00 2017年9月13日|カテゴリ: 専門家コラム|タグ: , , , |